お仏壇の値段の違い
お仏壇はとても高価な買い物です。
しかし、ただ安いからと買ってしまい
後々後悔してしまう方もおいでになります。
お仏壇の値段の基準を理解し、
納得のいくまで検討を重ねて購入することが大切です。
【お仏壇の価格】高いお仏壇と安いお仏壇で何が違う?
お仏壇の値段を構成するもの
お仏壇の値段を構成するものは大きく分けて2つです。
- デザイン(造り)の違い
- 材質や工法の違い
デザイン(造り)の違い【想いが表現されている良いお仏壇か】
お仏壇のデザイン(造り)には意味合いや想いが込められています。
ご家族の想いが込もった、子々孫々へと受け継いでいきたくなるお仏壇は、良いお仏壇といえるでしょう。私たちはそのようなお仏壇を、供養の想いが形になった『毎日お参りしたくなるお仏壇』と呼んでいます。
前述の通り『毎日お参りしたくなるお仏壇』はデザインされ、皆様の供養の想いが形になっています。材質選び、一つ一つの装飾、そしてお仏壇の大きさに至るまで、デザイナーのアイデアと職人の技術が注ぎ込まれています。
このように、一般に流通しているお仏壇とは、ひと手間もふた手間も工数が異なります。その結果、お仏壇の値段に違いが生まれます。
「毎日お参りしたくなるお仏壇」の例
材質や工法の違い
お仏壇、特に唐木仏壇は木の材質によって値段が大きく違います。世界各国から厳選された様々な銘木がお仏壇に使用されています。その銘木の中でもすべてがお仏壇に適しているわけではありません。良い部分だけを厳選し、使用量によっても値段が異なります。
お仏壇に使用される銘木には6つの条件があります。
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(1) 無垢板(むくいた)を使用した練り工法(ねりこうほう)
- ①総練り(そうねり)工法
- ②総無垢(そうむく)工法
- ③四方練り(しほうねり)工法
- ④三方練り(さんぽうねり)工法
- ⑤二方練り(にほうねり)工法
- ⑥前練り(まえねり)工法
- (2) 突板を使用した突板張り(つきいたばり)工法
- (3) 転写・特殊印刷(てんしゃ・とくしゅいんさつ)工法
(1) 無垢板(むくいた)の特徴
大自然が造り出す本物にはどんなことをしても勝てません。
暖かみ、自然のうるおい、風格にはどんな材質も及ぶものではありません。短所は割れ、狂いが全くないとはいい切れないことです。しかしお仏壇の高級品には無垢板をふんだんに使用した練り工法や無垢そのままの丸太造り工法など、特別極上品が生まれるのも無垢の長所です。
練り工法
①総練り(そうねり)工法
天上・裏板・羽目板・内陣等、総てが第一級の主材で、一級の芯材が条件です。
唐木仏壇製作の最高のこだわりは総練り工法です。
②総無垢(そうむく)工法
総無垢造りといっても素材によって大幅にグレードが変わります。例えば家具調などでは二級材が多い上に、完成度も考慮されます。従って極上品にならない場合もあります。一級の素材で彫刻など総て揃うことが条件です。
③四方練り(しほうねり)工法
四方練り工法ともなると、重量も一段と増してきます。それだけ見た目にも本物の質感があり、造り手の感性なども随所に表現される逸品が多いです。
内陣の素材や外陣の材などにこだわりが見られます。
④三方練り(さんぽうねり)工法
この位の作品になるとお仏壇の内部の造作などにも、かなり工夫が施された作品となります。
格調や気品が表れて特別上品の貫禄が感じられる材の使い方をしております。
安心感のある作品です。
⑤二方練り(にほうねり)工法
まず戸軸が狂わない工法です。
両面に高級材を使うことは、全体に素材の優れたものを使用することになります。
戸板も無垢材、傘や台輪なども無垢材を用いてバランスをとります。
完成度が高くなり品格が出て一目で良い作品と解るような質感があるグレードです。
⑥前練り(まえねり)工法
芯材にボードを使用したものは極端にグレードが下がります。
このグレードは芯材が木材であることが条件です。
(2) 突板(つきいた)の特徴
厳選された美しい杢目(もくめ)の原木を図のように0.2ミリ位にスライスした材料のことを突板と称します。
これを芯材に張り付け、様々な製品を造り出す貴重な材質です。短所は極めて薄いため深みが出ない点です。
長所は例えば矢張りとか象嵌(ぞうがん)などの細工がしやすい点や、杢目の良い良材をふんだんに使用できるのが、突板の最も素晴らしい特徴です。
突板張り工法
第二級程度の木材の芯材に突板を張ったものが対象になります。天然の突板ですので転写や印刷と違い、色褪せなどは少なく、工法も上級になります。
全体の材料もややグレードの高いものを使っているものが多く、美しい杢目が表れています。
(3) 転写・特殊印刷工法(てんしゃ・とくしゅいんさつ)に使用される圧縮ボードの特徴
圧縮ボードには耐火ボードや耐水ボードがあり、これらのボードは燃えにくい素材として建築材には欠かせない材料の一つです。
家具やお仏壇に使用されるボードは価格などの問題から、いわゆる普通のボードを使用しています。
このボードの主体は木片、チップを圧縮したものですから、水や衝撃に弱く、修復再生が出来ないのが欠点です。
しかし、狂いが少ないためお仏壇の棚廻りなどに合せ木を使って造られる方法が多いようです。
転写・特殊印刷工法
転写・印刷の長所は杢目が美しく、同じものが量産できるため低価格ということです。
白木地に直接杢目を印刷しますから修復ができないのが最大の欠点です。
お仏壇ができるまでには、様々な工程があります。
工法もしっかりした製造工程を経ているからこそ、違いが生まれます。
続いてお仏壇の種類別の製造工程をご説明します。
唐木仏壇の製造工程
1. 原木を厳選
原木を太さや長さに区別して、その木の持つ質や個性などを見極めます。
欅(けやき)などの大木には空洞があり、腐れなどがある場合もありますので詳しく調べ、良材、悪材などを厳選します。
2. 製材
厳選された良質材を写真のように芯を外して製材をします。
この工程に丸太材からいかに良質な板を多くとるかが計られる重要な工程となります。木の素質を充分に知り尽くした人でなければ出来ない仕事です。
3. 天然乾燥(2年~3年)
板状になったものを写真のように一段一段に桟(さん)を入れ積み上げていきます。
木表、木裏など木の持つ個性を見ながら作業する重要な工程です。
4. 人工乾燥
長期間乾燥された素材を人工的に再度、乾燥を施します。
更に人工乾燥を済ましたものを、そり・ねじれなど木の素質を見極め、次の工程に入ります。
5. 巾と厚さを定める
天然および人工乾燥を施した板を写真のように巾や厚さを定めるのですが、写真にある職人をご覧ください。木がそっていないか、ねじれていないか、逆目・純目でないかなどを調べています。このようにして慎重に作業を進めていく工程です。
そうして巾や厚さを定めると次は室内乾燥を数ヶ月施すと完全に近いものになります。
6. 細部作業工程
室内乾燥を済ませた素材を設計図に合わせ木取りをします。
木取りされたものを検品して本格的に細部作業に入り、形状等仕上げ工程に入っていきます。
7. 塗装
仕上がった木地に入念な塗装が施されるのですが、この工程は風や埃は厳禁です。
従って職人達は工場内をきれいにするのと同時に全神経を研ぎ澄まして行う、最も大切な工程です。
この工程により作品の良し悪しが決まるといっても過言ではない程、責任ある仕事でもあるのです。
8. 最終組み立て
天然乾燥から最終仕上がりまで数年をかけてようやく作品になっていきます。
こうした工程を経て仕上がった各部品を組み立てる難しい仕事です。
本体が組み立てられ内陣のはめ込みや、障子および大戸が取り付けられていく工程です。
職人達は自分が手掛けた作品、取り分け逸品作にはどのような思いが込められているのでしょうか。
その思いが皆様に伝わることを切に望みます。
金仏壇の材質と工法について
主材として高級品には桧(ひのき)など一級材が用いられ、その他にはセプターなどの二級材やボードなどを用いることが多いです。
塗装も高級品以上は本漆(ほんうるし)が使われますが、その他はカシュー塗りが多いです。
本漆にも「本漆」「呂花漆(ろばなうるし)」「呂色漆(ろいろうるし)」など漆の種類により、グレードがあります。
- 金箔も同様に高級品以上は極上の金箔を使います。
金粉も同様です。 - 金具も手打ち金具の高級品から機械で打ち抜く普通品まであります。
- 更に蒔絵も同じようにグレードがあります。
国家認定である経済産業大臣認定の伝統的工芸品としてのお仏壇は、これら総てが極上の物を用いて造られる素晴らしい逸品です。
金仏壇の製造工程
1. 木地加工(きじかこう)
木地とは塗装前の素地そのものを指します。
丸太材を板材に製材して天然乾燥を施します。
この過程は木工製品造りには欠くことが出来ない重要な工程です。約5、6年、ものによっては10年の歳月を要して乾燥させ、その乾燥させた木材で荒木取りをして、更に人工乾燥、次に室内乾燥に移り、完全に乾燥したものに切削加工を施して仕上げていきます。
2. 彫刻(ちょうこく)
写真は鳳凰(ほうおう)を彫刻しているところです。
この他にも様々な彫刻を施します。
方法は様々ありますが、まず、素地に絵を描き、木地加工と同じように何工程もかけて仕上げていきます。
長年の経験を要する工程です。
3. 宮殿(くうでん)組み立て
空殿(くうでん)も同じように何工程もかけて仕上げていきます。
写真にありますようにマス組みなど細かな部品を造り、極めて繊細な設計のもと、組み立てていく工程です。
4. 彫金(ちょうきん)加工
材質は様々あり、真鍮(しんちゅう)や銅、あるいは銀や金など、工程も機械プレスや手打ちなどがあります。
写真は手打ちで紋様を描き出す高度な技術を要する方法です。
5. 漆塗り(うるしぬり)
仕上がった木地に対し、写真のように漆を塗っていく工程です。何回も塗って仕上げますが、この工程の技術は大変難しく木地の仕上がりが要になります。漆の種類が高級であればあるほど、木地が粗雑であったりデコボコだと仕上がりに影響を及ぼします。
木地職人と塗職人がピッタリと息を合わせることが品質の良さを決めるのです。
6. 箔押(はくおし)
極めて薄い純金箔を仕上がった各部に押す過程です。
この仕事場は完全無風で全く清められた場所でなければ良い箔押しは出来ないといっても過言ではありません。
もし埃などが付いたりしますと箔面がデコボコになってしまいます。また風などに金箔が吹かれますときちんと押せません。それゆえに金箔師、漆師、蒔絵師は高度な技術と共に仕事場の環境にも神経を使って作業をしています。
7. 蒔絵加飾(まきえかしょく)
漆塗りの過程を経て次に蒔絵工程に移ります。
描かれる絵柄や描き方によっても価値は変わりますが、この蒔絵の技術はだれでも出来る訳ではありません。生まれ持った才能に加え何年もの修行を積んではじめて写真のような仕事が出来るようになるのです。
その意味でも貴重な技術であり工程となります。
8. 組み立て作業
最終組み立てはこうして何人もの熟練した職人が造った各部品を手袋をはめて、最大限に神経を研ぎ澄まし、極めて慎重に組み立てていきます。
こうして仕上がった作品を綿や布などで大切に包み、最終梱包を施します。